先日、「マインドフルネス」 をテーマにした講演会へ行ってきました。
マインドフルネスというのは、
意識を今この瞬間におき、あるがままの自分を受け入れた状態のことを言います。
お話してくださったのは、心療内科の先生、阪大医学部の助教授、
そして3年間お世話になった日本ヨーガ療法学会の木村慧心先生でした。
それぞれの先生が患者さんについてや、患者さんに対してどのような治療を行っているか、
統合医療についてやヨーガ療法について、そして個々の考えを話してくださいました。
その中で興味深いある一つの実験がありました。
2粒のレーズンが一人ひとりに配られ、
まず一つ目のレーズンをじっくりと隅から隅まで観察します。
余すことなく観察します。
そして、それをゆっくりと口の中に入れ、まずは噛まずにその形状や
口の中での感触などを観察します。
十分に観察できたら、ゆっくりと咀嚼します。
咀嚼したときの感覚や風味をよーく観察します。
さらに飲み込むときには、レーズンが喉を通る感覚、
そのあとの口の中の状態なども観察します。
一粒のレーズンがすご~く奥深いものに感じられ、
さらに普段食事をするときよりも唾液の量が増えるのです。
2つ目のレーズンも同じように食しますが、
今度は目を閉じて行います。
すると、視界が遮られるので更に “食す” ことに意識が集中します。
唾液の量が更に増え、口の中の感覚やレーズンが喉を通るときの感覚がより明確になります。
日常の生活の食事では(特に仕事の合間の食事)、何かを見ながら(本やテレビなど)
食事をすることが多いと思います。
何を食べたのかはっきり覚えていない時さえあります。
しかし、“食す” ということに集中して、
食べ物の風味、噛むときや飲み込むときの感覚に意識を向けると、
“食す” ことへの意味をしっかりと感じ取ることができ、満足感や幸福感度が増します。
こんな当たり前のことですが、無数と言っても過言ではないくらいの情報が飛び交う世の中で
こういった感覚を感じとることは難しいかもしれません。
でもよっぽど敏感な人ではない限り、私たちの五感はどんどん鈍っていくように思えます。
五感が鈍るということは、人間の本能的な直観力が鈍るということに繋がるのではないでしょうか。
何日に一回かでも、食事の時間にぜひ “食す” ことをしっかり味わいたいものです。
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