去年の5月から、我が家に犬を迎えました。
グレート・ピレニーズとエパニョールのミックス犬です。フランス語ではグレート・ピレニーズは「Patou(パトゥ)」、エパニョールは「Epagneul(エパニョール)」と呼ばれ、うちの犬の母親は「Breton(ブルトン)」という種類のエパニョールでした。
生後3ヶ月で引き取りに行った時から既に体が大きく、抱っこするのも「よいしょっ」という感じ。車に乗るのも初めてで、家に着くまでの間に車酔いで嘔吐したり、新しい環境に少しびくびくしていたり……あの頃を思い出すと今でも可愛かったなぁと思います。
ピレニーズ×エパニョールという組み合わせについて
グレート・ピレニーズ(フランスでは「Patou」と呼ばれることが多い)は、もともとフランスとスペインの国境にあるピレネー山脈で、羊などの家畜を狼から守るために活躍してきた牧羊犬です。体格が大きく、成犬になると30〜50kg近くまで成長することも珍しくありません。独立心が強く、番犬としての本能から「自分の判断で行動したい」という性質を持つ犬種としても知られています。
一方のエパニョールは、狩猟犬として鳥などを見つけ出す役割を担ってきた犬種で、人懐っこく学習能力が高いとされています。
この2つの血が混ざった我が家の犬は、体は大きく力も強いのに、性格は割と人懐っこいというギャップのある子に育ちました。ただし、独立心の強いピレニーズの気質もしっかり受け継いでいるようで、しつけには根気が必要だと日々実感しています。
現在の様子|30kg近い体と格闘する散歩の日々
今では体重が30kg近くになり、散歩に行くと猛烈な力で引っ張るため、引っ張り防止用のハーネスなしでは散歩に連れて行けません。ハーネスをつけていても油断すると引っ張られてバランスを崩しそうになることがあり、気を抜けない場面もしばしばです。
最初の数ヶ月は犬の教習所(フランスでは「éducation canine」と呼ばれるしつけ教室)にも通わせ、一生懸命しつけをしました。それでも、いたずらが完全になくなることはなく、散歩中に引っ張る癖もなかなか直りません。面白いことに、旦那の言うことは比較的よく聞くのですが、これは「旦那の方が怖い」と犬なりに学習しているようです(笑)。
なぜ「フランス語」で躾用語を統一しているのか
我が家では、犬への掛け声(お手・お座り・伏せ・待てなど)をすべてフランス語で統一しています。理由は単純で、私たち家族の生活言語がフランス語であり、私以外の家族(フランス人の夫や子供たち)が犬に指示を出す場面が日常的に多いからです。
犬のしつけでは「家族全員が同じ言葉・同じトーンで指示を出す」ことが非常に重要だとされています。言葉がバラバラだと、犬がどの言葉にどう反応すればいいのか混乱してしまうためです。我が家の場合は、必然的にフランス語に統一する形になりました。
実際に使っているフランス語の躾用語一覧
| 日本語 | フランス語 | カタカナ読み |
|---|---|---|
| お手 | la patte | ラ・パット |
| お座り | assieds-toi(assieds) | アシエ・トワ(アシ) |
| 伏せ | couche-toi(coucher) | クシェ・トワ(クッシェ) |
| 待て | pas bouger/attends | パ・ブジェ/アタン |
| よくできたね(褒める) | c’est bien | セ・ビアン |
| おいで | viens | ヴィアン |
| だめ! | non | ノン |
| 落ち着いて/ゆっくり | doucement | ドゥスマン |
| 足元につけ(脚側行進) | au pied | オ・ピエ |
| ハウス(自分の場所へ) | va coucher | ヴァ・クシェ |
補足すると、「待て」は状況によって使い分けています。散歩中に急に立ち止まらせたい時は短く「pas bouger(動くな)」、少し長めに待たせたい時は「attends(アタン=待って)」という具合です。犬にとっては単語の響きだけでなく、声のトーンや状況とのセットで覚えていくものなので、飼い主自身が使い分けを意識することが定着への近道だと感じています。
フランス語で躾をして感じたメリット・注意点
メリット
- 家族全員(フランス人の夫や子供たち)が共通の言葉で指示を出せるため、犬が混乱しにくい
- フランスの動物病院やドッグトレーナーとのコミュニケーションでも、同じ用語を使えるのでスムーズ
- 短い単語が多く、犬にとって聞き取りやすい
注意点
- 日本語と発音が全く違うため、家族の中に日本語話者がいる場合は事前に統一が必要
- 「r」の発音(フランス語特有ののどの奥で出す音)は、最初は犬に伝わりにくいこともあり、根気強く繰り返すことが大切
- 褒め言葉と叱る言葉のトーンの差をはっきりつけないと、犬が区別しにくい
ちなみに私自身は、これらの掛け声以外は普段日本語で犬に話しかけています。指示語は統一していても、日常会話まではフランス語に完全に切り替えるのは難しく、母国語がついポロッと出てしまうものですね。
まとめ
多言語環境で犬を育てていると、家族の間で「どの言語で指示を出すか」を最初に決めておくことが、しつけをスムーズに進める上で重要だと感じます。我が家のように国際結婚・海外在住のご家庭で犬を飼う予定がある方は、ぜひ家族会議で使う言語とフレーズを事前に統一しておくことをおすすめします。
今後も、フランスでの子育てや日常生活と合わせて、愛犬とのエピソードも綴っていきたいと思います。


